声の敵2「たばこ」
皆様、今回は「たばこ」についてです。
常習性があり、声にとっても最も厄介な有害物質と言えるでしょう。
悪影響は大ですが、分かっていても止められない方も多いのではないでしょうか?
身体にとって悪いものは声にとって良い訳がありませんが以下のように特に酷い「嗜好品」です。
- がん: 肺、口腔、咽頭、喉頭、食道、胃、肝臓、膵臓、膀胱、子宮頸部など、全身のさまざまな部位のがんリスクを高めます。喫煙者のがん全体の発生率は、非喫煙者に比べて男性で1.6倍、女性で1.5倍高いという調査結果があります。
- 呼吸器疾患: 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の主な原因であり、喘息や肺炎などのリスクも高めます。喫煙者は免疫機能が低下するため、呼吸器感染症にかかりやすくなります。
- 心臓病・脳卒中: ニコチンの血管収縮作用と一酸化炭素による酸素欠乏が動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めます。
- ニコチン依存症: ニコチンは依存性が非常に強く、喫煙を習慣化させ、禁煙を困難にします。
- その他の健康被害: 歯周病、糖尿病、早産、メタボリック症候群など、多岐にわたる病気のリスクを高めます。
実は私自身、元喫煙者で禁煙する直前には1日に2箱(40本)も喫煙するヘビースモーカーでした。
喫煙の許される20才から吸っていたので約27年間程喫煙していたことになります。
当時、声帯のチェックで耳鼻咽喉科に行くたびに先生から喫煙によって鼻、喉の炎症が酷いと指摘され続けて来ましたし、内科の先生には肺の上部が喫煙によって、ただれている状態とも言われました。
しかしそのような最悪ともいえる身体の状態でも、呼吸法を専門に学んで来たので歌手やナレーターのレッスンでは皆様が一息では無理な長いフレーズを息継ぎなしで歌ったり読み上げたりのお手本を示すことが出来ていたので、つい自惚れて当時はさほど気にしていなかったです。。
私自身が自覚出来て止めようと思ったのは「ニコチンが切れるとたばこを吸いたいことしか頭になく集中力が持続しない…」それが一番の原因でしたが、それだけでは済まされていなかったのが「たばこ」でした。
今だから分かりますが、肺の炎症のため、深い吸い込みが出来ずにブレスが浅かったです。
録音を聞くと声帯も炎症のためか声は今よりダークでピッチも低かったです。
声の敵1で説明させて頂いた「風邪」のように無理をすれば即座に声を潰すというものではないので自覚は薄いですが、喫煙によって絶えず喉、鼻、肺が炎症を起こしている状態です。
そのような状態で良い発声など望める訳がなく、当時の私も含めて、声のプロの世界で喫煙者は教師、演奏家に関わらずにプロ失格者と言わざるを得ません。
メンタル面での影響も大きいです。
喫煙者は喫煙すると気持ちが落ち着くと思っている方が多いですし、私もそう思ってましたが実際はそうではなく喫煙者は血液中にニコチン受容体というものが出来ていて、ニコチンが切れてくると受容体がニコチンを欲しがって気持ちが落ち着かなくなり、喫煙するとそこがニコチンを吸収するために身体が、心地良い、落ち着いた、と錯覚するらしいです。
又、たばこを止めてからが、本当に周りの方々に副流煙、匂い等、どれだけ迷惑をお掛けしてきたかも身に染みて分かりました。
煙を吸い込まなくても近年は残留受動喫煙(三次喫煙)という匂いだけでも有害ということも分かっているようです。
要するに喫煙者の近くにいるだけでアンモニア、ニコチン、タール、一酸化炭素、アセトアルデヒドなどの有害物質を吸い込んでしまうということになります。
税金を取るためにこのような有害物質が認められているのは本当に酷い話と思います。
禁煙されたい方は「チャンピックス」というお勧めの薬がありますので是非禁煙外来に行って相談されて下さい。
実は私が禁煙に成功した錠剤の飲み薬ですが、成功率80%以上という優れものです。
薬の作用が血液中のニコチン受容体に蓋をして、たばこを吸っても徐々にまずく感じて行き楽に止められるという薬です。
現に私はこれで楽にやめられました。^-^
声と身体の健康は密接な関係に有りますので皆様、出来る限りお身体をご自愛の程、宜しくお願い申し上げます。
本日もご購読ありがとうございました。

